政策要求

日米地位協定の改定要求

私たち駐留軍労働者の雇用や労働条件などの基本は、日米間で締結されている「日米地位協定」に基づいて定められています。

残念ながらその「日米地位協定」が原因で様々な社会問題や駐労にとっての労務問題や雇用問題が発生しているのが現実です。

全駐労は、連合の「日米地位協定の抜本見直し連合要求(案)」の策定に参加して、日米地位協定の問題点の改正を求めています。

「日米地位協定の抜本見直し連合要求(案)」は、「日米地位協定の抜本見直しに向けた対策会議」(全駐労、15地方連合会で構成)で、連合案の策定に向け内容検討を行い、見直し案としてとりまとめたものを2004年1月16日開催の連合第4回中央執行委員会で、正式に連合の見直し(案)として決定したものです。

日米地位協定の
改訂見直し連合要求

  1. 第2条関係(基地の提供等)
    1. 日本国政府及び合衆国政府は、日米合同委員会を通じて締結される個々の基地に関する協定の内容について、関係地方公共団体から、住民生活の安全確保及び福祉の向上を図るため要請があった場合は、これを検討する旨を明記すること。
    2. 日本国政府及び合衆国政府は、前記の検討に際しては、関係地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重する旨を明記すること。 また、基地の返還についての検討に際しても、関係地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重する旨を明記すること。
    3. 日米合同委員会を通じて締結される個々の基地に関する協定には、基地の使用範囲、使用目的、使用条件等を記載する旨を明記すること。
  2. 第3条関係(基地に関する措置)
    1. 合衆国軍隊は、日本国政府が、駐留軍等労働者に係わる公務を遂行するうえで、基地への立ち入りを求めた場合には制限しないことに同意する旨を明記すること。
    2. 合衆国軍隊は、基地が所在する地方公共団体に対し、事前の通知後の施設及び区域への立ち入りを含め、公務を遂行する上で必要かつ適切なあらゆる援助を与えること。ただし、緊急の場合は、事前通知なしに即座の立ち入りを可能にするを明記すること。
    3. 航空機事故、山火事等合衆国軍隊の活動に起因して発生する公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事件・事故については、基地内で発生した場合においても、速やかに事件・事故に関する情報を関係地方公共団体に提供すること。また、災害の拡大防止のため、適切な措置を執る旨を明記すること。
    4. 合衆国軍隊の演習、訓練、施設整備等の諸活動の実施に対して、航空法等の日本国内法を適用する旨を明記すること。
  3. 第3条A
    (施設・区域の環境保全等)※新設

    下記の内容の環境条項を新設する旨を明記すること。
    1. 合衆国は、合衆国軍隊の活動に伴って発生するばい煙、汚水、赤土、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有するものとする。 また、日本国における合衆国軍隊の活動に対しては、環境保全に関する日本国内法を適用するものとする。  合衆国軍隊は、基地におけるすべての計画の策定に当たっては、人、動植物、土壌、水、大気、文化財等に 及ぼす影響を最小限にするものとする。また、当該計画に基づく事業の実施前に、及び実施後においては定期的に、当該事業が与える影響調査し、予測又は測定し、評価するとともに、調査結果を公表するものとする。 さらに、日米両政府間で、当該調査結果を踏まえ、環境保全上の措置について協議するものとする。
    2. 合衆国軍隊の活動に起因して発生する環境汚染については、合衆国の責任において適切な回復措置を執るものとする。
  4. 第4条関係(施設の返還)
    合衆国軍隊が使用している基地の返還に当たっては、事前に、日米両政府は、合衆国軍隊の活動に起因して発生した環境汚染、環境破壊及び不発弾等の処理について、共同で調査し、環境汚染等が確認されたときは、環境浄化等の原状回復計画の策定及びその実施等の必要な措置を執ること。
  5. 第5条関係
    (入港料・着陸料の免除) 

    1. 民間航空機及び民間船舶の円滑な定期運航及び安全を確保するため、合衆国軍隊による民間の空港及び港湾の使用は、緊急時以外は禁止する旨を明記すること。
    2. 第5条に規定する「出入」及び「移動」には、演習及び訓練の実体を伴うものを含まない旨を明記すること。
  6. 第9条関係
    (合衆国軍隊構成員等の地位)

    人、動物及び植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関して、国内法を適用する旨を明記すること。
  7. 12条5項関係(駐留軍労働者の雇用条件)
    「――相互間で、別段の合意をする場合を除くほか、賃金及び諸手当に関する条件その他の雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令でさだめるところによらなければならない」の条文中の部分を削除し、国内法令遵守の徹底をはかること。
  8. 12条に「項」を新設
    (雇用条件決定権限)

    駐留軍労働者の賃金・雇用条件は、法律174号において、「―――生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の勤務条件を考慮して、施設庁長官が決める」となっているが、この内容を日米地位協定に条文化し、雇用主・防衛施設庁長官は、主体的権限を持って団交当事者としての責任が果たせる体制を確立すべきである。
  9. 第12条6項
    (裁判所・労働委員会の決定)

    「合衆国軍隊又は、適当な場合には、第15条に定める機関により労働者が解職され、かつ、雇用契約が終了していない旨の日本国の裁判所又は労働委員会の決定が最終的なものとなった場合には、次の手続きが適用される。(a)省略 (b)省略 (c)省略 (d)省略 」を改正し、日本国の裁判所又は労働委員会の最終決定に服する旨を明記すること。
  10. 第13条関係(租税)
    合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税については、民間車両と同じ税率で課税する旨を明記すること。
  11. 第17条関係(裁判権)
    合衆国の軍当局は、日本国の当局から被疑者の起訴前の拘禁の移転の要請がある場合は、これに応ずる旨を明記すること。
  12. 第18条関係(請求権の放棄)
    1. 公務外の合衆国軍隊の構成員若しくは軍属、若しくはそれらの家族の行為又は不作為によって損害が生じた場合において、被害者に支払われる損害賠償額等が裁判所の確定判決に満たないときは、日米両政府の責任で、その差額を補填するものとし、補填に要した費用負担については、両政府間で協議する旨を明記すること。
    2. 合衆国の当局は、日本国の裁判所の命令がある場合、合衆国軍隊の構成員又は軍属に支払うべき給料等を差し押さえて、日本国の当局に引き渡さなければならない旨を明記すること。
  13. 第25条関係(合同委員会)
    日米合同委員会の合意事項を速やかに公表する旨を明記すること。

全駐労が提起し、連合見直し案として決定されたのは、2-(1)、7.8.9.の4項。